セカンド レディー
「……柚姫は、孤独(ひとり)じゃない。俺とは違う」
「違わない…っ!蓮のそばにはあたしがいる…っ。蓮をひとりにしない……あたしが…っ……いるんだよ………」
唇を噛みしめ、溢れでそうになる"それ"を必死に堪える。
だけど、そんなこと、なんの意味も無かった。
目の奥が熱くなり、胸の奥が苦しくなるとともに止めどなく溢れ出す涙と嗚咽。
あたしの中に、このような感情があったのだと自分でも驚く。
「あたしは……っ!蓮のことを恨んでた……っ。ずっと……あたしを捨てた蓮を……。だけど、忘れられなかった…っ」
本当は気づいてる。
憎しみで忘れられなかったんじゃない。
どれだけ恨んでも、あたしの中にある蓮の記憶は温かい。
だってあたしは、
あの日、あの時、
初めて男を、
温かく、優しく、愛おしいと感じたから…。
「………出逢えて良かった。
愛してる……。誰よりも、ずっと……」
涙を浮かべながら優しく微笑むと、目を閉じ、あたしの頬に触れていた手がパタンと力なく落ちた。