セカンド レディー
「……蓮?……れ、ん……っ」
何度も名前を口にし、体を揺さぶるけれど、ピクリとも反応しない。
あたしは、守られたかったんじゃない。
ずっと、誰かを守りたかった。
あたしが、蓮を助けに来たはずなのに……。これ以上傷ついて欲しくなくて、助けたかった…だけ、なのに……。
「うわぁぁぁ……ん………っ」
泣き叫ぶあたしの声は、もう、蓮には届かない。
あたしの、想いも……。
全部……。
「桐谷っ!!!」
流牙くんの叫び声とともにみんなが勢いよく部屋に入って来る音がした。
だけど、そんなことどうでもよかった。
「どうなってんだよ、これ……」
遠くで、流牙くんの声がする。
みんなも声も…。
ただ、その声は、子どものように泣きじゃくるあたしの声で簡単にかき消された。
うぅ……っ。
………ふぇっ。
とめどなく溢れる大粒の涙は止まることを知らない。
蓮……。
「…………ごめんなさいっ」
倒れた蓮の体に顔を埋(うず)め、ただひたすら涙を流した。
「…柚姫」
誰かがあたしの名前を口にする。
だけど、そんなことは他人事で、どうでもよかった。