セカンド レディー
「俺じゃなくて"霜華"のな。ま、めんどくせぇからどっちでもいいけど」
「フロストの姫ってことですか…?けど、それならもういらっしゃるじゃないですかっ!」
「ごちゃごちゃうるせぇよっ!」
その言葉と共に、流牙という男は、一人の男の腹部に1発拳を入れた。
うめき声を上げ、苦しみながら地べたに膝を着く男。
その光景を見て、悲鳴をあげるあとの2人。
この男も、あの男と同じだ……。
ビクッと、あたしの中で何がが大きく脈打った。
男とか女とか関係ない。
なんの躊躇いもなく、他人を傷つけるところが、あの男そっくりだ。
「二度と俺の前に現れるな」
力あるが上に立つ。
それがその世界。
その、"力あるもの"がこの目の前の男なんだと、実感した。