セカンド レディー


「なぁ、あれって」



「なんでずぶ濡れなの?」



廊下を歩くあたしに向けられる視線。


もうどうでもいい。


霜華には誰も逆らえない?



絶対的存在?



笑わせないで​───────。




学校中があいつらを崇拝してようが、あたしは絶対に騙されない。



向かったのは、ずっと使っていた空き教室。


ここがアイツらのたまり場になっていることは知っている。 だから絶対ここにいると思った。



ガラリとドアを開けると昨日のメンバーが全員お揃い。

昨日までは確かに空き教室だった。

だけど、その場所はまるで別の部屋だ。


邪魔な机と椅子は排除され、残されたのはどこから持ってきたのであろうソファと大きな机、そしてテレビに冷蔵庫。


ただ、快適に過ごせそうなほど変わった部屋なんて、今はどうでもよかった。



「は?なんで柚姫が……つーか、その格好どうした?」


恭平くんの言葉を無視すると、ここの総長が座っているソファまで行った。




「なに?」



スマホから視線を一切移さない。



このクソ男が……っ!!





ありったけの力を込めて、この男の顔を叩いた。



「え……?」


「流牙が、打たれた…?」




シーンと静まり返ったあと、気まずそうな声が微かに響いた。
< 61 / 297 >

この作品をシェア

pagetop