セカンド レディー
「なぁ、あれって」
「なんでずぶ濡れなの?」
廊下を歩くあたしに向けられる視線。
もうどうでもいい。
霜華には誰も逆らえない?
絶対的存在?
笑わせないで───────。
学校中があいつらを崇拝してようが、あたしは絶対に騙されない。
向かったのは、ずっと使っていた空き教室。
ここがアイツらのたまり場になっていることは知っている。 だから絶対ここにいると思った。
ガラリとドアを開けると昨日のメンバーが全員お揃い。
昨日までは確かに空き教室だった。
だけど、その場所はまるで別の部屋だ。
邪魔な机と椅子は排除され、残されたのはどこから持ってきたのであろうソファと大きな机、そしてテレビに冷蔵庫。
ただ、快適に過ごせそうなほど変わった部屋なんて、今はどうでもよかった。
「は?なんで柚姫が……つーか、その格好どうした?」
恭平くんの言葉を無視すると、ここの総長が座っているソファまで行った。
「なに?」
スマホから視線を一切移さない。
このクソ男が……っ!!
ありったけの力を込めて、この男の顔を叩いた。
「え……?」
「流牙が、打たれた…?」
シーンと静まり返ったあと、気まずそうな声が微かに響いた。