犬猫ポリスの恋日常
期待とは裏腹に、刑事部は少々ざわついていて人の出入りが激しいようだった。
千歩が刑事部の入り口で様子を窺っていると、勢いよく出てきた刑事に「どいて!どいて!」と廊下の隅に追いやられてしまう。
一体何があったのだろう……?
様子を窺っている続ける千歩の前を女性刑事が通り過ぎようと歩いてくる。
彼女は秋人と同じチームで、千歩とも顔見知りだった。
「あの!何かあったんですか?」
「殺人未遂。バレンタインのチョコレート使ってね。二課も季節恒例の詐欺事件にてんやわんやよ。刑事部に何か用事?それとも猫君?」
「えっと……」
こんな状況下で、呑気にも『幼馴染みにバレンタインのチョコレートを渡しにきました』なんて口が裂けても言えるものか。