犬猫ポリスの恋日常

これでも警察官だ。

千歩が構える銃が放ったコルクは小さなキャラメル箱に命中した。

「やった!命中!」

千歩は小さくガッツポーズをして、秋人にむかってドヤ顔してみせる。

秋人はそんな彼女の事など微塵も気にせず銃を構えた。

そして、なんの躊躇いも無く、ど真ん中の木札を落とした。

“大当たり”と書かれた木札は、千歩が当てたキャラメル箱よりもさらに小さいもの。

大当たりの景品は、大きな柴犬のぬいぐるみだった。

いとも簡単に大当たりを持って行かれて、射的屋のおやじも苦笑い。

秋人はそのぬいぐるみを抱えて射的屋を後にした。

「秋君のいじわる……」

千歩は不満を零しながら秋人の一歩後ろをトボトボ歩く。

今度こそ勝てたと思ったのに惨敗だ。
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