犬猫ポリスの恋日常
「あれ……何かあったんですかね」
林は二つ先の信号を指さして言う。
路肩で縦一列に並んだ黒い乗用車とミニパト。
熊のように大柄でスキンヘッドの男と痩せ型で高身長の男。
それに比べて頭一つ分以上小さな女性警察官が何やら口論をしている。
女性警察官の方は千歩だ。
秋人には後姿を見ただけで分かった。
「車停めろ」
秋人は林に指示する。
千歩たちから少し距離をおいた場所に捜査車両を停車させた。
すぐに出ていくのかと思えば、秋人はその場を動かず高みの見物をしている。
「あ~あ、まるでチワワとドーベルマンだよ……。アイツら最近ここらで調子ついてる奴らですよ。そろそろ一度締めてやらねぇとなって言ってたところだったんだけど」
林は気の毒そうな目で千歩の事を見ている。