犬猫ポリスの恋日常
刑事部と交通部では扱っているものが違う。
余程の事がなければ互いの仕事に口を挟まないのが普通だ。
秋人自身も話には聞いていたが、実際に彼らの顔を見るのは初めてだった。
秋人は黙って捜査車両の扉を開けた。
「猫島さん?降りてどうするんですか?」
林の問い掛けも余所に聞きながら車を降りる。
いらぬお節介だということは秋人にだって分かっていた。
だから、捜査車両にすがった状態でしばらく様子を窺うだけに留めた。
「……俺が走ってる時はまだ黄色だったって言ってんだろ!」
「それなら、何で逃げたりしたんですか?」
「お前が追っかけてくるからだろうがっ!ふざけてんじゃねぇよ!」
「ドライブレコーダーにも証拠が映ってます。言い逃れはできませんよ」
「この女、マジ面倒臭ぇ……」