犬猫ポリスの恋日常

大柄男は舌を鳴らして、不平不満を垂らす。

これでは埒があかない。

離れたところで見物していた秋人は、痩せ型の男にジーッと睨みつけるような視線を送った。

そのうち、秋人の視線に男が気付く。

秋人はそのタイミングで内ポケットから警察手帳を取り出し、相手に見えるように広げてみせた。

手帳を広げたところで名前などが見えるわけではないが、喪服のような黒いスーツにサングラスを身に着けた警察官はこの界隈では有名人だ。

痩せ型の男の顔色が悪くなり、みるみる血の気が引いていく。

「おい……おいってば……」

痩せ型の男は秋人から視線を逸らさないまま、横にいる大柄な男の肩を軽く叩く。

「俺たちは金なんて払わねぇからな!……って何だよ……」

大柄の男は募るイライラを吐き捨てながらも、相棒の呼び声に応える。
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