犬猫ポリスの恋日常
「素直に払った方がいいかも……」
痩せ型の男が発した弱気発言に、大柄な男は腹を立てて「お前、何言ってんだよ!」と怒声を浴びせる。
そして、続けた。
「こんな女の言う事を“はい、そうですか”って聞くのかよ」
大柄男は千歩の事を指さして言い放った。
警察官というより千歩自身に対する侮辱行為。
こちらに向いている人差し指をポッキリ折ってやりたい気持ちを千歩はグッと堪えた。
そろそろ応援を呼ぶ頃合いかもしれないと、ミニパトに視線を寄せる。
全く口が減らない相方を余所に、痩せ型の男は酷く怯えた様子で遠くの方へチラチラ視線を向けている。
痩せ型の男がある一点をあまりにも意識するものだから、大柄男もついに彼と同じ方向に目を向けたのだった。