犬猫ポリスの恋日常
「お前ちょっと変だ――…ぞ……」
秋人と大柄男は目と目がバチッと合った。
その瞬間、大柄男の表情は氷のように固まっていく。
「黒猫――…」
彼は蚊の鳴くような声でそう囁いた。
その声はあまりにか細過ぎて千歩の耳まで届かなかった。
秋人は離れた場所から彼らに向かってニンマリと不敵な笑みを浮かべる。
サングラスが邪魔をして目の形がよく分からないだけ、その表情はより不気味さを増す。
「ひっ……」
ガラの悪い男たちの顔が、まるで誰かに後ろから引っ張られているかのように引き攣った。
「ふ、婦警さん……俺たちが悪かったよ」
「信号……赤だったかもしれねぇし……。な?」
「お、おう……。俺もそんな気がしてきた……」
「サインするし、後で金も払うから」