犬猫ポリスの恋日常
秋人は一足先に捜査車両に戻り、取り締まりを終えたばかりの千歩の様子を車内で見ていた。
「車出していいぞ」
「はい」
秋人の指示で、林はサイドブレーキを下げて再び車を発進させる。
二人が乗る捜査車両は、千歩が乗るミニパトの横を追い越していく。
「猫島さんって意外と過保護ですよね」
林は笑っちゃいけないと思いつつも笑いたくて仕方が無い様子で半笑いを浮かべている。
「後輩の仕事ぶりをただ見ていただけだろ」
「アレは“ただ見ていた”だけって言うんですか。今にも逮捕しそうな眼してましたよ」
「俺は不当逮捕はしない。“善良”な市民には優しいお巡りさんだろ」
秋人はポケットから煙草を一本取り出して吸い始めた。
冗談にしか聞こえない秋人の言葉に、林はついに堪えていた笑いをふき出してしまう。