犬猫ポリスの恋日常
「……どこが優しいお巡りさんなんですか。優しいのはポチちゃんにだけですよね」
林は鬼のBlack Catと呼ばれる秋人の意外な一面が垣間見えて大笑いだ。
「さっきの事、犬山には黙ってろよ」
「そんな野暮なマネしませんって。猫島さんがポチちゃんを心配して仕事を見守ってたなんて言いませんよ……」
林の口元がピクピクしている。
信用できない。
「それから、犬山の事を“ポチ”って呼んでいいのは俺だけだから、そのへんもよろしく」
「え~……せっかく可愛い愛称だなって思ったのに」
「林君、よろしく」
不平を鳴らす相棒に対して秋人は念を押しておく。
自分だけの特別な呼び方を彼が二度と口にしたいと思わないように。
タバコの先端を彼の手の甲に押し当てる素振りをみせながら、秋人は丁寧にお願いした。