犬猫ポリスの恋日常
外はまだまだ寒く、冷たい風が当たると身震いしてしまう。
千歩は慌てて出てきたものだから、手袋を持ってくるのを忘れてしまった。
冷たくなった手先を吐息で温めながら道を歩く。温かくなっては冷めての繰り返し。
見兼ねた秋人は自分のコートのポケットに千歩の冷たい片手を招き入れた。
「相変わらず、そそっかしいな」
彼の手の温もりが千歩の凍てついた手先を溶かしていく。
心拍がどんどん早くなる。
千歩は心臓の鼓動が秋人に伝わってしまわないか焦った。
「そんなことで、立派に警察業務が務まるのか?」
「つ、務めてみせるわよ……」
秋人の問いかけに千歩は自信無さそうに答えた。
交番勤務で怒られてばかりの毎日。自信が無いのも無理はない。