犬猫ポリスの恋日常
「仕方ないなぁ。許す」
麻衣子から許しを得た途端、千歩は丼ぶりの蓋を開けて「いただきます!」と箸を持った。
「それで、猫島さんとはどうなの?」
麻衣子の問いが耳に入ってきたのだが、千歩はちょうどロースカツを頬張っていてすぐには返答できない。
咀嚼して、ゴクリと飲み込んで、水で口直し。
麻衣子は千歩の口が落ち着くまで黙って待っていてくれている。
「実は付き合ってる」
千歩が正直に答えると、麻衣子は「やっぱり……」と頬杖をついた。
「いつから?」
「彼がNY市警にいく前」
「結構前じゃない!なんで言ってくれなかったのよ」
「だって、日本にいなかったし。わざわざ自分から言うのも……ねぇ」
「猫島さんが日本に戻ってきて随分経つじゃない。あんなハイスペックな彼氏がいながら自慢のひとつもしないなんて……」
“ありえない”と言わんばかりに麻衣子はゆっくり首を左右に振った。