犬猫ポリスの恋日常
No.5.5 カツ丼と親父のお話(おまけ)
秋人が退院をしてしばらく経った頃、二人は改めて両家へ挨拶をする為に秋人の実家に訪れていた。
わざわざ別々に挨拶をするのも手間だからと両親たちが提案した集まりだ。
四人掛けのソファーに秋人の父と千歩の父が並んで座り、向かい合う形で秋人と千歩は座っている。
現役警視総監と荒くれ者ばかりを相手にしてきた元現場刑事が二人して並ぶと稀に見ぬ威圧感だ。
それだけならば、泣く子も黙るはず。
なのに、ソファーテーブルの上にはなぜか丼ぶりが二つと眩しいばかりのスタンドライトが照らされている。
「一応聞くけど……何ですかこれ?」
たまらず秋人が問いかけた。
千歩も横でうんうんと頷いてみせる。
考えたくはないが、明らかに結婚のご挨拶ではない何かを意識しているようだ。