恋しくば

全部って一体いくらしたのだろう、と頭の中で換算を始めてしまう。辻本は至って真面目に返した。

「買ったら葛野にも貸せるから」
「それは嬉しい……けど、うちテレビ無いから」
「じゃあうちに来て見れば良い。劇場のチケットも取って行こう」
「まだ活動してるの？」

肯定の返事。あたしはそれに感動してしまった。そうか、それは嬉しい。思い出が、思い出で終わらなかった。
辻本と共にファミレスを出た。会計で揉めて、先に辻本がカードを出してそれを店員さんが受け取ったので負けた。

出発までまだ時間がある。駅ナカのお店をふらふらと見ていた。