恋しくば
地元の駅前にもある大手予備校のものだったっけ。こっちに来て、オフィスビルとかに入っていく学生の姿に驚いたことを思い出す。
「それに返ってきた結果、ちゃんと見ないうちにどっかやっちゃったんだよね。あれって全国模試だったけど、みんなの名前が載ってるもんなの?」
「上位100人までしか載ってない」
それをきちんと見る辻本は、毎回名前が載っているということだろう。素晴らしいことですこと、と思いながら串焼きのメニューを見た。
「その時の模試の結果、葛野の名前は俺の上にあった」
「え、そうなの?」
それは意外で、正面を見る。勿論辻本と視線が絡む。
「総合一位だ」
この時ほど、冷や汗をかいたことはない。