恋しくば
瞼に落ちる光の粒
すっかり暗くなった大学の外に出る。
眠気がすっかり覚めた。すっきりした視界の中に、夜空が映る。しかし星はない。
「辻本、夕飯食べに行かない?」
誘ってみた。結構これって勇気がいるな、と感じた。断られたらそれでも良いけれど。
思えば、よく辻本はあたしを夕飯に誘ってくれた。
「行きたい」
「待ってくれたお礼に奢る。給料入ったし」
「それはいい」
「じゃなきゃ行かない」
冗談っぽく言ってみると、辻本が急に立ち止まる。
驚いてそちらを振り向けば、何か考えている顔。
「……分かった」
苦渋の決断、といった返事だった。