恋しくば
目を覚ますと、白い天井が見えた。触り慣れないシーツの感覚に、自分がベッドに横たわっていることが分かった。
腕を上げて目元に触れる。少し動くだけで、だるさが増える。
「気が付いたか」
その声の方を見ると、辻本がいた。
「……ここ、病院?」
消毒の匂いがしていた。
「いや、保健室だ。大学の」
「初めて入った、かも。どこにあるのかも知らない」
「図書館のすぐ隣だ」
そうだったんだ、いつも通っているのに目に入っていなかった。
「百鳥がとても心配していた。今は授業を受けてる」
「あたしの分の配布資料も貰ってくれてると嬉しい」