不本意ながら同棲してます
ミナトと別れて家に帰ると予想通りそこには、
"宮島さん"がいた。

おかえり、と笑いながら近づいてくる。

「宮…島…さん?」

「うん、どうしたの?」

名前を呼ばれたことが嬉しかったのか、いつも
より柔らかい笑みを浮かべて私の頭を撫でる。

「宮島…レイさん…」

驚いたように口を開く宮島さん。

私の口から出た知らない言葉。
記憶にない、聞き覚えのない名前。

宮島レイ。

「なんで…?」

宮島さんがゆっくりと口を開いて立ちつくす。

いつもの怪しい笑顔は消えて、苦しそうな顔。
初めて見る笑顔以外の表情。

「…今日はもう帰るね。おやすみ」

暖かくして寝るんだよ、と一言だけ残して家を
出ていく宮島さん。

バタンと閉まった扉の音だけが虚しく響く。
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