元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!
「ツグミ。なんだかきみの様子がおかしいように見えるのは私の気のせいか?」
すると私が何かを言う前に、隣に座っているゲンツさんがすかさず口を挟む。
「いつもの潔癖だよ。こいつはゆうべ、お前がリーヴェン夫人とよろしくやってたことが気に食わないんだとよ」
「げ、ゲンツさん……!」
まったくもってその通りなのだけど、クレメンス様にははっきり言わないで欲しかった。
だってなんだか、彼に知られるのは恥ずかしい。男として行政官を目指すことを決めたくせに女々しいことに拘ってるなんて思われたら、いやだ。
クレメンス様は青い目を大きく見開き、パチクリと瞬きを繰り返すと小首を傾げて言った。
「なんの話だ? 昨夜なら私はずっと広間にいたが?」
「え?」
「へ?」
私とゲンツさんの素っ頓狂な声が重なる。
「で、でも……昨日広間に探しに行ったときには、クレメンス様の姿はどこにも……」