元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!
パルマをあらかた見て回った私は日が暮れる前に馬車に乗り込み、マントヴァの公館へと戻ることにした。
予定では三日後に行われるマントヴァ公館での舞踏会に、パルマ公も出席するはずだ。
彼女にライヒシュタット公に会いに来てくれるよう歎願することをこの旅の一番の目的にしているゾフィー大公妃は、今からその日を楽しみにしている。
ふたりが話をするときに私も同席させてもらおうと考えながら、私はマントヴァへの帰路についた。
――ところが。
舞踏会に出席しゾフィー大公妃と初めての挨拶を交わしたパルマ公は、二日滞在する予定を繰り上げて、舞踏会が終わると早々に帰ると言い出したのだ。
「ごめんなさいね。あまり体調もすぐれないし、パルマでの仕事がたくさん残っているの」
そう言って申し訳なさそうに微笑んだパルマ公を前に、さすがのゾフィー大公妃もポカンとする。
「で、でも……私、パルマ公に大事なお話があって……」
「本当にごめんなさい。あとでお手紙を書くわ。ウィーンのお父様によろしくね」