元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!
 
「ずいぶん遅かったな」

「はい、途中で……知り合いに会って少し話し込んでしまって。すみません」

今日はこれからパーティーがある。私の宰相秘書官就任を祝って、クレメンス様が開催してくれたものだ。

「もう馬車は準備させてある。そろそろ出発するぞ」

「はい!」

急いで隣の秘書室にある自分の外套を取ってこようと踵を返したときだった。

「……っと、その前に。ちょっと待ちなさい」と呼び止めて、クレメンス様が私のもとまでやってくる。そして。

「じっとして」

なんと、私のことを後ろから抱きすくめてしまった。

「えっ、えっ? は……はい」
 
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