スーパーガール
振り向くと、浅黒い肌の、私と同じくらいの年齢の男性が立っている。トレーナー用のポロシャツを着ているので、スタッフだとわかった。


「こらッ、間宮《まみや》くん、馴れ馴れしいよ。末次さん、すみません。先週入ったばかりの新人なんです」


尾崎さんは困ったように眉根を寄せる。その表情から、彼がどういったタイプなのか察することができた。


「末次さん。体力のことで、何か気になることはありますか?」

「今のところは別に……あ、最近、握力を測ってないかも」


握力は全身筋力の指標だ。数値の上下で、体調を測ることができる。


「わかりました。間宮くん、握力計を持ってきて」

「了解っす!」


彼は元気よくすっ飛んでいき、すぐに戻ってきた。


「40ぐらい、いっちゃいますかねえ」


面白そうに言う彼から握力計を受け取り、スイッチを入れる。ピピッと、スタンバイの音がした。

椅子を立ち上がり、まず右から握力を測る。
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