スーパーガール
「棚橋さん、私……」

「うん?」


ギプスの腕をちらりと見やる。ダメだ、涙が出そうになる。でも、だからこそ言わねばならない。いや、言わせてほしい。


「私に、家事を手伝わせてください」

「家事?」


棚橋さんは目を瞬かせる。何のことかわからない様子だ。


「食事とか、掃除とか、洗濯とか、私にやらせてください」

「……ああ」


彼はギプスを見下ろし、納得の顔になる。


「こんな状態だから、心配してくれるんだね。でも大丈夫だよ。片方の手が使えるし、家事くらい何とかなるから」


予想どおりの返事だ。棚橋さんは遠慮して断るのだろうが、ここで引き下がるわけにはいかない。


「棚橋さんのこと、もちろん心配です。だけど、それだけじゃなくて……私のために、手伝わせてほしいのです」

「君のため?」

「はい、お願いします!」


カップを持つ手が震えるけれど、目は逸らさない。しっかりと、心からの気持ちを伝えたい。
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