スーパーガール
「泊まる……って。えっ、どこ……に、ですか?」


うろたえる私に、棚橋さんは真顔で言葉を継ぐ。


「もちろん、僕のアパートですよ。家事を手伝ってくれるんですよね?」

「は……はいい!?」


今のは冗談?

いや、棚橋さんは大真面目だ。

いやいやいや、ちょっと待ってください。確かに家事を手伝うと約束しましたが、そこまでするつもりはありませんが!?


と、言いたかったのだが、驚きすぎて私は口をパクパクさせるのみ。


「僕のアパートは歩いて10分ほどのところにあります。そうだなあ、今夜はもう遅いし、このまま泊まってください。途中にスーパーがありますから、そこで晩ごはんと一緒に必要なものを買いましょう」


他意を感じさせない、てきぱきとした口調。棚橋さんは私の申し出を、仕事の延長と考えているのだろうか。


「ちょ、あの……棚橋さん、私は、住み込みというわけでは……」

「遠慮は無用です。家事を手伝ってくれるのですから、必要経費は僕が持ちますよ。さ、早く行きましょう」


棚橋さんはにこりと微笑み、さっさと歩いていく。

あまりにも自然な様子に、私はものも言えず、とりあえず従うほかなかった。
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