スーパーガール
何も言えずに突っ立っていると、彼が顔を覗き込んでくる。


「末次さんは、隣で寝泊まりしてくださいね」

「はい、わかりまし……」


こうなったら腹を決めよう。そう思いながら返事をするが――


「……隣?」


棚橋さんは、隣のドアを指差している。


「はい、隣の部屋です。僕の部屋は501号室。これは502号室の鍵です」

「……」


カードキーを手渡された。これは一体……? 私は首を傾げつつ、棚橋さんを見上げる。


「ああ、そうか」


彼はようやく、私の戸惑いに気付いたらしい。微かに頬が染まっている。


「実は、大量の本を整理するために、倉庫代わりにもう一部屋借りているのです。すみません、最初に言っておくべきでしたね」

「はああ?」
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