スーパーガール
膝から崩れそうになった。

つまり、同じ部屋で寝泊まりするわけではなかったのだ。


「電気も水道も普通に使えますよ。テーブルに椅子、テレビ、布団も一組置いてありますので。あ、掃除機はかけたほうがいいかな」


502号室の説明をしながら、501号室のドアを開ける。少し上ずった声に聞こえるのは、気のせいだろうか。

いや、彼は今頃になって状況を把握したのだろう。


(た、棚橋さんって……天然?)


何だか可笑しくなり、ぷっと噴き出した。


「ど、どうかしましたか?」

「いいえ……うっ、うふふ……」


緊張が解けたせいか、笑いが止まらない。

照れながら部屋を案内する彼に、これまでとは違う親しみを覚えるのだった。
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