スーパーガール
レンジから出したお弁当を受け取る。指先が少し触れたので、ドキッとした。


「末次さんが、手の届く距離にいてくれる。僕にとっては、それだけでじゅうぶんありがたいのです」

「……」


手の届く距離――

何だか意味深な言葉に聞こえて、ますます鼓動が速くなる。

お弁当をテーブルに置き、彼に背中を向けた。


「あとはやりますので、棚橋さんは座っててください。あっ、お茶を用意しなくちゃ……グラスはどこですか」

「ええと、戸棚にあるのを、適当に使ってください」


焦っているのは私だけ。お茶を注ぐ手が、微かに震えている。


(やっぱり棚橋さんって、天然だ)


エアコンが効きはじめた部屋は涼しい。なのに私は、汗をかきながらお弁当を食べた。

手の届く距離にいる、棚橋さんと一緒に。
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