スーパーガール
「棚橋さん。今日、お風呂は?」

「ああ、今日はやめておきます。熱を持った感じがするので」


彼は残念そうに笑い、ギプスに手を添えた。


「そうですか……あ、では蒸しタオルを作るので、体を拭いてください」

「蒸しタオル?」

「お風呂の代わりです。棚橋さんは着替えの用意を。新しいタオルをお借りしますね」


私はもう一度家に上がり、電子レンジで蒸しタオルを作った。熱いうちに渡そうとして急いでリビングに戻るが、姿が見えない。


「棚橋さん、できましたよ!」

「こちらです」


隣の部屋から声が聞こえた。彼がドアの隙間から顔を出している。シャツを脱いで、上半身裸になっているのがわかった。


「あ、あの……どうぞ」

「ありがとう」


なるべく見ないようにして、タオルを渡した。


「おお、熱い……でも、気持ち良いですね」


どうやらこの部屋は、彼のベッドルームだ。灯りを消した部屋で、顔や体を拭いている。
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