スーパーガール
「末次さん、助かりました。あとは着替えて終わりなので、きみは502号室に行ってください」

「わかりました。じゃあ、タオルをこちらに」

「洗濯かごに入れておくので、大丈夫です」

「えっ、でも」

「……いろんなところを、拭きましたから」


使用済みのタオルを、私に渡したくないのだ。それに今、彼は裸も同然。


「すみませんっ」


自分のデリカシーのなさを悔やみつつ、その場を立ち去ろうとした。すると、背後から声が聞こえた。


「おやすみなさい。また明日、よろしくお願いします」


そっと振り向くと、棚橋さんがドアから顔を出し、微笑んでくれる。あたたかな気持ちが伝わってきて、私も笑うことができた。


「はいっ。お、おやすみなさい!」


明日からもっと本気で、彼をサポートしなければ。いや、サポートしたい。

ドキドキしながら、自覚する。

棚橋さんを好きだという想いは、はっきりとした形で胸に表れていた。
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