スーパーガール
「ギプスを着けた状態でのリハビリは、末次さんの助言なんですよ」

「……!」


急に私の名前が出て、ドキッとする。

皆が一斉に、こちらを注目した。


「へえ、さすがスポーツ健康学部」

「やるなあ、末次さん」


隣にいた社員が、私の肩をぽんと叩いた。


「きみもご苦労様。課長の家事を手伝うって聞いた時は驚いたけど、適任だったわけだ。最後までまっとうして、偉い偉い」

「い、いえ……私は別に」


照れる私を、棚橋さんがニコニコと見守っている。顔が熱くなってきた。


「でも、あなたも勉強になったでしょ。この経験をまとめれば、良いレポートになるわよ」


別の社員の言葉に、私はこくりと頷く。


「は、はい。日常における骨折のケアについて、とても勉強になりました」


職場の人達には、『家事を手伝うのは、健康科学の学習とレポート作成のため』と、説明してある。



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