スーパーガール
好きな男のタイプは相変わらず、頭が良くて、穏やかで、落ち着いた雰囲気をまとう理知的な人。

だけど、あの事件を境に、私は好きな人ができてもアプローチ以前にあきらめるようになってしまった。

どんなに好きになっても、いずれ『運動バカ』と『怪力』がバレて嫌われるだろう。そう思うと怖くて、一歩が踏み出せなくなる。


そして、今日も私は『好みどストライク』の男性を前に、内心身悶えするのだった。


「末次さんは確か、スポーツ健康学部の学生さんでしたね」

「え? あっ、はいっ、棚橋《たなはし》さん!」


ここは、立木《たちき》書房本店の最上階フロアにある、本部企画課。

コピー機で資料作りをしていた私は、いつの間にかそばにいた棚橋さんに話しかけられ、驚きのあまり大声を出してしまった。

しかし彼はにこりと微笑み、


「来週から新しいバイト君が入るのですが、彼も体育大学の学生さんみたいですよ」
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