スーパーガール
本当は、私のせいで怪我をしたのだから、責任をとるため……と言いたかったのだが、棚橋さんに止められた。彼にはどうしても、私の責任とは思えないのだ。

そして、半同居生活の件についても他言せず、『介護サービスのように、通いでサポートしている』ということにしてある。

私と棚橋さんが特別な関係になるとは誰も思わないだろうが、もし誤解されたら彼に迷惑がかかる。だから、その件については私から提案した。

棚橋さんは、その提案になぜか困った顔をしたが、何も言わず受け入れてくれた。


「でも課長、まだ痛そうですよね。引き続き、末次さんに家事のお手伝いを頼んではいかがですか」

「えっ?」


社員の言葉に、私と棚橋さんは同時に声を上げた。


(引き続き、家事をサポートする……私が……)


ぜひ、お手伝いしたい。でも大学があるので、夏休みのように時間が割けない。そんな中途半端では、かえって棚橋さんに迷惑かも。だけど、ぜひぜひお手伝いしたい……せめてリハビリが完了するまで……!

いろんな考えが、頭の中をぐるぐると巡った。結論が出ず、棚橋さんの意思を確認しようと彼の目を見た時――


「あのう、それなら俺にも手伝わせてください」


私の後ろで、野太い声がした。


< 50 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop