スーパーガール
日曜日の午前中。

私と畑山くんは、棚橋さんのマンションへと向かっている。書棚の整理をするので、手伝ってほしいと言われたのだ。

畑山くんは車を運転しながら、話しかけてきた。


「棚橋さんのサポート、もうしばらく続けたほうが良さそうッスね」

「うん。リハビリが完全に終わるまで、様子を見たいよね」


私と畑山くんの意見は一致している。

彼とは数か月の付き合いだが、妙に通じるところがあった。


(互いに運動系の学生だから、気が合うのかな)


ボサボサの髪と髭面を、横目で見やる。ジムで鍛えたという分厚い体は、見事と言って良い。彼も私と同じ、格闘技経験者なのだ。


(同い年っていうのもあるけど、まるで昔からの友達みたいに気楽に話せる。不思議な人だなあ……)


「末次さんって、T市の人だよね」

「ああ、うん。高校を出るまでT市に住んでたよ」


あれっ? T市出身ってこと、前に話したっけ……


首を傾げる私に、彼は続けた。


「俺も、子どもの頃T市に住んでたんだ」

「えっ、ほんとに?」
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