スーパーガール
「さて、本の整理はおおむね終了です。そろそろお昼にしましょうか」


気が付くと正午を回っていた。

私はエプロンを外して、棚橋さんから501号室の鍵を受け取った。


「お昼を運んできますね」


今日はお弁当を作ってきた。作業の合間にぱぱっと食べられるよう、おにぎりと簡単なおかずである。


「いつもありがとう、末次さん」

「いえ、そんな」


律義にお礼を言う彼は、相変わらず紳士だ。それに、とてつもなく優しい微笑み。

私は熱い頬を隠し、彼に背中を向けた。


「棚橋さん。こっちの棚、今にも耐震ベルトがちぎれそうですよ。午後イチで作業しまょうか」

「あ、ああ、ほんとですね。では、お願いします……」


二人の声を聞きながら、早足で玄関に向かう。

彼が好きすぎて、まともに顔を見られなかった。
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