スーパーガール
落ち着いた態度、静かな口調。

棚橋さんは本部の企画課長という偉い方なのに、アルバイトの私にも敬語で話す。

私は恐縮しながらも、彼の知的な雰囲気に胸をときめかせた。


「そ、そうなんですね」

「末次さんもですが、運動系の学生さんはきびきびと働いてくださるので、大変助かります。新しいバイト君とともに、これからもよろしくお願いしますね」

「はいっ。こちらこそ、よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げた。棚橋さんに褒められて、顔が熱くなってしまう。


「それでは、僕はこれで。資料が出来上がったら、会議室まで運んでおいてください」

「承知しました!」


ピシッと背筋を伸ばし、オフィスを出て行く彼の後ろ姿を見送る。

ああ、何て素敵な人なんだろう。こんなにときめくのは、学くんに恋して以来である。
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