スーパーガール
「えっ?」


それは、ほんの数秒の場面。

書棚がぐらりと揺れて、手前に大きく傾く。

反射的に、支えようとする棚橋さん。

耐震ベルトが重みに耐えかね、ブチッと音を立ててちぎれた。


「棚橋さんッ!!」


100kgを超える重さが、彼に襲いかかろうとしている。

私は何も考えず、ダッシュした。


「あぶなーーーーーいっ!!!」


棚橋さんの前に立つ。

身構える間もなく、私の両腕に、ずしんと書棚がのしかかってきた。


「ウウッ……!」


歯を食いしばる。

ぎちぎちに詰まった本は床に落ちず、各段に収まっている。

片膝をつき、ほとんど腕だけでその重量を支えた。

かかる重みは、半端ない。しかし負けるわけにはいかない。

死んでも棚橋さんを守るのだ!


「末次!」


畑山くんが飛んできて、一緒に書棚を持ち上げる。

さすが、鍛えている男子。私の負担は半分になり、重さを壁際に退けることができた。

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