スーパーガール
「うう……っ」


何だかお腹が空いてきた。

こんな時なのに、甘いものが食べたい私は一体何なんだろう。

バカなの? 無神経なの? 化け物なの?


自虐しながら、フードコートの方向へ歩いた。

汗まみれで、しかも涙目の私を、すれ違う人がちらちらと見ていく。


(あ、財布持ってない)


ポケットを探るが、そこにはスマートフォンがあるのみ。取り出すと、着信履歴が並んでいる。全部、棚橋さんからだ。


(棚橋さん、どうして私なんかに電話を……)


メールもきている。これもきっと棚橋さんからだ。


《 サポートはもう結構です。今後は畑山くんのみに、お願いします 》


そんなメッセージに違いない。ネガティブ思考に陥った私はメールを放置し、フードコートの椅子に座り込む。

時よ、戻れ! などとつぶやいてみるが、時間は前に進むのみ。そんなの、学くんの時に学習済みだ。
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