スーパーガール
スーパーガール
「た、棚橋さん……」

「もう逃げないでくださいよ。久しぶりに全力疾走して、ヘトヘトだ」


体が熱いのだろう、彼の頬が赤くなっている。私は椅子に座り直し、大人しく言うことを聞いた。


「まず、最初に言うべきだった。さっきは動転して、責めるような態度をとって悪かった」

「え……」


戸惑う私に、棚橋さんは、ぺこりと頭を下げる。


「助けてくれて、ありがとう。きみがいなければ、僕は書棚の下敷きになるところだった」


彼は感謝の眼差しで私を見つめた。

まったく予想もしない反応をされて、ますます戸惑ってしまう。そして、いたたまれなくなる。怒られたほうがましだった。


「……これで、おわかりになりましたよね。私は、あれだけのことができる女なんです。握力60、ベンチプレスマックス80超えの、怪力女なんです」

「末次さん、それは……」

「何も言わないでください」


いっそ責めてほしい。優しくされると、泣きそうだから。
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