スーパーガール
黙りこくっていると、棚橋さんが口を切った。


「渡辺学くん、ですか？」

「……！」


大きく目を見開く。なぜ、この人がその名前を？

びっくりして瞬きもできない私に、棚橋さんは頷く。すべてわかっていますと、言いたげに。でも、どうしてわかっているの？


「僕は、不思議だったんです。なぜきみが、僕が怪我をしたのは自分のせいだと泣いたのか。あの涙は、一体どんな理由によるものか。考えてもわからず、でも君に尋ねるのはためらわれて、畑山くんに相談したのです」

「は、畑山さんに？」

「ええ。彼はきみと同じ体育系の学生で、同い年で、気も合うようだし、何かわかるかもしれないと思って。実は、相談したのはつい最近のことですが、彼は明確な答えをくれました」


私はぽかんとする。

畑山さんが、明確な答えをくれた？　なぜ？　彼は心理カウンセラーの勉強でもしているのかしら。いろんな想像を巡らせるが、結局わからなかった。
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