スーパーガール
「末次さん。畑山くんは、小学五年生の夏に苗字が変わったそうです。ご両親が離婚されて、お母さんの苗字になったんですね。もとの名前は、渡辺学くんというそうです」

「……はい?」


渡辺学……って、あの、学くんと同姓同名なんですが。

ほっそりとした体格で運動が苦手な渡辺学くんと、筋骨隆々の頼もしい体躯の畑山学くんを、頭の中に並べた。

首を傾げる私に、棚橋さんは具体的な説明を付け足す。


「彼はT市の北部小学校に通っていました。五年生の夏休みに、ある女の子に誘われて、遊園地に遊びに出かけたそうです」

「ええっ?」


思わず声が出た。偶然の一致にしては、出来すぎている。というか、畑山くんも北部小学校に通っていたとは。彼は、小学校を忘れたと言っていたのに。


「彼は、その日のことを鮮明に覚えていました。ワゴンショップに並んでいた時、ひったくりに財布を取られたことも」

「……」

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