スーパーガール
「末次さん、お疲れ様。今日も絶好調ですね!」


マシントレーニングを終えて汗を拭いていると、担当トレーナーの尾崎《おざき》さんが声をかけてきた。


「あっ、尾崎さん。こんばんは」

「末次さんには本当に感心する。選手を引退してもトレーニングを熱心に続けるなんて、素晴らしいわ」

「いえ、そんな。体を動かしてないと、落ち着かないだけですよ」


尾崎さんは、競技に合わせて的確なアドバイスができる、トレーニング指導の専門家だ。私が高校の空手部在籍中からお世話になっている。

実は、彼女に影響されて今の大学を選んだ。将来、スポーツに関る仕事に就きたくて、健康科学を学ぼうと考えたのだ。


「大学では、陸上とヨガと、柔道サークルにも入ってるのよね?」

「ええ。空手以外のスポーツもしてみたくて。どれも初心者だけど、楽しいです」

「まじですか? めっちゃアスリートですやん」


突然、背後から声が割り込んだ。
< 9 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop