彼氏以上、オット未満
「どしたの?」


「やっとふたりっきりになれたからやんか」


「ヘンなの」


「・・・メグ、してもええ?」


うなずくと、昴は私をベッドに寝かせた。


唇が重なり、少しずつ激しくなってゆく。


昴の荒い息づかいを、胸で感じる。


「メグ、めっちゃ好きや」


「私も、昴が好き」


甘い言葉をささやきあい、私たちは結婚するんだな、と意識しながら、体がとけるような感覚を楽しんだ。


翌日は大阪観光をして、実家に残る昴は新幹線ホームまで見送りに来てくれた。


「なんか、さみしいな」


「そお?


実家で甘えて、ゆっくり休んできなよ」


発車のベルが鳴り始め、ふたりを引き離してゆく。


「ほな、気いつけてな。


お母さんと、よく話してみろや、な?」


「うん、じゃあまた来週、会社でね」


ここまでは、順調だった。


うちのお母さんをのぞいては。


ゴールデンウィーク明けの最初の週末、昴はお母さんに大阪土産を渡しに、わざわざ実家まで来てくれた。


『お昼時にくると気いつかうやろから』って15時くらいに来てくれたのに、


「やだもう、ケーキとかないのに」


お母さんの機嫌は、とても悪かった。


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