彼氏以上、オット未満
その後も何度か訪ねてくれたのに、まともに会話することもなく、むなしく月日は過ぎてゆき。


なんの進展もないまま、いま、詩織の結婚式を迎えている。


結婚という言葉さえ、タブーになっているような私たち。


披露宴が終わり、二次会へ向かう前にお手洗いに行った私は、ロビーに戻って昴を探した。


あれ、昴いないな・・・。


キョロキョロしていたら、エントランスの自動ドアの向こう側に昴をみつけた。


かけ寄ろうとしたけど、足がすくんだ。


昴の隣には、ショートカットの小柄な子が立っていた。


昴の元カノの、愛ちゃんだ。


なんで、愛ちゃんがここにいるの?


頭の中が?マークでいっぱいになった瞬間、愛ちゃんは私を見た。


目が合った、なんか言われるのかな、と思った瞬間、愛ちゃんは勝ち誇ったように微笑んだ。


そして、昴の肩に手をかけ、内緒話をするような姿勢をとったとたん、昴の頬にキスをした。


驚いて、自分の頬を手でぬぐう昴。


笑いながら何か昴に声をかけ、私を指差し、道路へ向かって歩きだした愛ちゃん。


驚いた顔で私を見る昴。


昴と目が合った瞬間、私はもうひとつのエントランスに向かって逃げ出した。


昴との距離、わずか10メートルほど。


すべてがスローモーションのように、崩れていった。


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