番外編『目が覚めたら、昨日より愛しいキスをして』
緊張からか身動きを取れないでいると、床に腕をつき明希ちゃんが上体を起こした。
顔を上に向ければ、熱のこもった瞳で明希ちゃんが私を見下ろしていて、その熱は私に伝染した。
自分の激しい心音を聞きながら、私は震える唇を開く。
「あ、きちゃん。
私も会いたかったし、触れたかった。
だから、」
「あー、もう、止まんなくなりそう」
私の言葉を遮るように明希ちゃんがなにか呟いたかと思えば、次の瞬間、激しく唇を奪われていた。
「……まっ、」
「君のせいだから覚悟して」
明かりを背に意地悪な笑みを見せたかと思うと、またキスが降ってくる。
それは、息をする間もないくらい、1秒すら惜しむような、そんなキスで。
呼吸もままならなくなり、明希ちゃんの服の袖をぎゅっと握りしめる。
すると、唇を重ねたまま、するっと指の先で頬を撫でられた。
「俺のことしか考えられないっていうその顔、たまんない」
「……っ」