番外編『目が覚めたら、昨日より愛しいキスをして』
「明希ちゃんが、私にたくさんの初めてをくれるんだよ」
じんわり言葉を紡げば、明希ちゃんが片膝を立て、拗ねたような表情で私の顔を覗き込んできた。
「ほんとさー、君は俺を浮かれさせるのが得意だよね」
額に額を当てて、ぐりぐりと攻撃される。
「このこの〜」
「ふふ」
「明日こそ、絶対渡すから」
「うん」
明日の約束ができる。
愛しい人が笑いかけてくれる。
同じ想いでいてくれる。
それが、どれだけ幸せなことか、私は知っているから。
「明希ちゃん、大好き」
私は今日も明日も、ありったけの愛を届けるのだ。