番外編『目が覚めたら、昨日より愛しいキスをして』
「あ、明希ちゃん……っ?」
驚く私を、玄関に入るなり突然ガバッと抱きしめる明希ちゃん。
「は〜〜、超会いたかった〜〜」
だけど私は、明希ちゃんの腕の中で驚くばかり。
明希ちゃんが目の前にいることが信じられない。
「どうして? 仕事は……」
「めちゃくちゃ猛スピードで仕事終わらせた。
君不足で、会いたくて死にそうだったから。
それに今日は記念日だしね」
甘い言葉の数々の間にさりげなく落とされた、記念日というワードについ反応する。
「覚えていてくれたの?」
「当たり前」
笑みを含んだ声で、明希ちゃんが言う。
彼の腕の中で私は、肩の強張りをそっと解放した。
本当、この人はヒーローだ。
会いたいと思った時、必ずやって来てくれるのだから。