番外編『目が覚めたら、昨日より愛しいキスをして』
「は〜、生き返った」
ふたりでシチューを食べた後、シャワーを浴びた明希ちゃんが、タオルで髪を拭きながらバスルームから出てきた。
リビングのソファーで読書をしていた私は、明希ちゃんの声に顔をあげる。
「今日もお疲れさま」
「未紘もお疲れさま。
あ、ドライヤー借りるね」
「うん」
こういうふうに彼が疲れている時、なんて言ってあげるのが、そしてなにをしてあげるのが、いい彼女なのだろう。
「えっと、髪乾かしてあげようか?」
悩んだ末、躊躇いがちにそう聞くと、明希ちゃんの顔がふにゃと緩む。
正しい選択だったぽい。
「じゃ、お願いしようかな」
ソファーの下の床に明希ちゃんが座る。
私は、明希ちゃんから受け取ったドライヤーで髪を乾かし始めた。